コアは小学生でも関係代名詞の含まれる英文を読んで訳していきます。当然、中1生もです。
品詞については、小学生から意識している動詞、名詞の理解を更に中学生で深めていきます。と同時に中学生では、形容詞、前置詞なども注意して訳していくようになります。
コアでは語順訳を通して、文法指導も行うので、新しい文法事項を一度教えたら終わり、ではなく、何度も繰り返し確認していくのです。
中学生指導とその先
英文を前から訳していくやり方は、世の中にたくさんあります。ですので、それ自体がコアの独自性ではないかもしれません。しかしながら、前章で「赤ずきん」を使って紹介しました語順訳は、段階を追っての学習方法である、という点で、コア独自のものであり、コア式語順訳と呼べる特徴をもったやり方なのです。
コア式語順訳は小学生から始められますが、それではいったい小学生から始めた生徒が中学生ではどのようにステップアップしていくのか? この点に着目すると、より一層「コア式」がどのようなものであるか、理解していただけると思います。
小学生では、文法用語をあまり使うことなく、前から訳すことと、繰り返し語順訳をすることで感覚的に日英の比較をし、英文の語順を身体に染み込ませていきます。それに対して、中学生以上になると、語順訳を通して文法指導を繰り返すことによって、その後の、つまり、高校、大学受験、大学、あるいは一般社会人まで通じる、直訳直解までつなげられるような訓練をつんでいくことになります。
中学1年生を考えた場合、以下4つほどが指導のポイントとして実践されています。
中1で使っている教材(コア式語順訳1)の抜粋です。英文下線の下のS,V,前置詞などの書き込みは、語順訳と同時に行う文法指導の際のポイントです。
訳:
ミックは田舎に住んでいた。そして彼はかなり大きい庭を持っていた。
彼は野菜を育てていた。そして彼はいくつかの(数羽の)立派な太ったにわとりも持っていた。
彼はその卵とその肉を売った。そしてかなりたくさんのお金を、それらと交換に受け取った。
(1)句(フレーズ)をとらえる
小学生では英文を一語一語、前からワードバイワードで訳していきましたが、中学生では一歩進んで句(フレーズ)でとらえていくフレーズバイフレーズでの訳に移行していきます。コアの中学生は①冠詞から名詞までのまとまり、②代名詞の所有格から名詞までのまとまり、③this(この), that(あの、その)などの指示形容詞から名詞までのまとまり、を見つけて、そこまで一気にとらえられるように練習していきます。④前置詞がでてきたら、印をつけさせ、後ろには名詞がくることを教えます。慣れてくると、前置詞から名詞までまとまりとして訳すようになります。
(2)文型SVOをとらえる
コアでは小学生でも主語の日本語訳に「は」「が」をつけることによって、主語とは何かということを感覚的に身に着けており、また動詞に関しては、「日本語では述語動詞は最後に訳す」という訓練によって、動詞とは何であるかも感覚的に入っています。
更に中学生では英文5文型のうち、特に実際の英文で最も多く使われているSVOの文型を見つける練習をしていきます。当然SVのみの第一文型も押さえています。
(3)代名詞の指すものを理解する
代名詞がいったい何を受けて「代」名詞なのかを理解させるため、元の名詞を見つける訓練をします。
(4)並列andに続くものを見つける
接続詞andは同質のものを並べているということを理解させるために、コアでは小学生でもandを訳すときは一語ではなく、次の語まで進んでから語順訳をさせています。中学生では、さらに何と何が並列関係をなしているのか、見つけさせることしています。
関係代名詞の指導
関係代名詞
コア歴(コア英語教室での学習歴)が長い生徒は、中2にもなると、自分で関係代名詞とその先行詞を見つけられるようになっています。更には関係代名詞節の終わりまで見つけ、先行詞につなげて訳せる生徒も多くでてきます。
一方、中1でコア歴も浅い生徒だと、下記(Levi Straussの例文)のように段階を追って訳していくことになるでしょう。生徒の学習歴や文法理解にあわせて、関係代名詞節の終わりまで一気につなげられるのか、段階を追ってつなげていくのか、指導者が見極めながら訳していきます。
コアの学習法はステップアップ学習法。関係代名詞を一度教えたらそれでおしまい、ではなく、繰り返し確認して進んでいきます。
それでは、なぜ、関係代名詞も含め、英語の「全体」を与え続けるのか? それは、子供たちが自分の母語(日本語)での想像力に見合った英語を欲しているからです。
「お母さん、ぼくが昨日買ったジーンズ、どこに置いた?」
「あ、あれ。膝に穴が開いていたあのジーンズ?ちゃんと縫っといたわよ。」
という会話が今は成り立たないくらい、穴あきジーンズは大衆化してますね。
この日本語の会話の緑字部分は、英語で言うところの関係代名詞が含まれています。
子供たちは自分の日本語力と同程度の英語に触れることで、たくさんのことを吸収していきます。
以下、コア式語順訳2(中2用)のテキストで扱っているLevi Straussの抜粋です。
Levi Strauss, a name that is now famous, / was the man who invented jeans./ Levi Strauss was born in Germany / in 1829,/ but went to the USA / as a young man./ At first he lived in New York, / but in 1853 / he moved to San Francisco,/ where he worked with his brother. / They worked in a shop / selling clothes to men/ who were looking for gold / in the California Gold Rush./ The men were working very hard /in difficult conditions,/ and they needed very strong trousers./
a name(that is : である名前
a name(that is now : 今や、である名前
a name(that is now famous) : 今や有名である名前
the man (who invented : 発明した男の人
the man (who invented jeans) : ジーンズを発明した男の人
men (who were looking for : ~を探していた男たち
men (who were looking for gold : 金を探していた男たち
men (who were looking for gold in the California Gold Rush) : カリフォルニアゴールドラッシュ期に金を探していた男たち
関係代名詞もこのように語順訳として訳しきることができるのです。
コア式ステップアップ学習法のステップアップ表
学年ごとに新分野を学ぶのではなく、語順や文法を繰り返し学ぶことが、本当の英語力をつけるために必要なシステムなのです。
コア式ステップアップ
学習法 |
小学生 | 中学生 | 高校生 | ||
ワードbyワード
(一語ずつ) |
フレーズbyフレーズへ | フレーズ(句)から節へ、そして直読直解へ | |||
日
英 の 語 順 の 違 い 意 識 |
語順 | 動詞(V) | (述語)動詞は日本語では最後に訳す | 述語動詞は日本語では最後に訳す | SV, SVO, SVCは自分で見つけて訳す。SVOO, SVOCについても各要素を確認しながら訳す。長い句や節など複雑な文はその都度確認する。 |
主語(S) | 「は」「が」をつけて訳す | S,Vを確認しながら訳す | |||
目的語(O) | 「を」「に」をつけて訳す | S, V, Oを確認しながら訳す | |||
前置詞 | ~(なになに)のつくことばには、次の単語を入れて訳す | 前置詞に印をつけて、名詞まで訳す
形容詞句は直前の名詞につなげて訳す |
自分で前置詞句までを区切り、訳す | ||
従属接続詞 | ~(なになに)のつくことばは、次の単語を入れて訳す | SVが続くことを確認しながら訳す | 自分で従属接続詞だと判断し、節で訳す | ||
関係代名詞 | 先行詞に波線、関係代名詞から←(矢印)をつなげ、一語ずつ先行詞に足していく | 先行詞を探させる
関係代名詞節の終わりを探させる |
自分で関係代名詞節、先行詞を判断し、訳す | ||
英
語 は 名 詞 好 き |
名詞 | 冠詞 a, the | a=ひとつの、the=その、と訳せるときは訳す
一語で前の文に足して、一時的に不自然な日本語でも次々と訳す |
名詞までのまとまりを訳す | S, O, C, 前置詞の目的語等、自分で名詞のまとまりを見つけて訳す。さらに、句あるいは節までとらえて、その中の一要素として訳しこむ。 |
人称代名詞の
所有格 |
一語で前の文に足して、一時的に不自然な日本語でも次々と訳す | 名詞までのまとまりを訳す | |||
指示形容詞
this, thatなど |
一語で前の文に足して、一時的に不自然な日本語でも次々と訳す | 名詞までのまとまりを訳す | |||
人称代名詞 | 代名詞が何を指すか日本語で言わせる | 代名詞が指すものを英文を遡って探させる | 代名詞が指すもの考えて訳す | ||
長文の鍵 | 並列 | and | andの次の一語まであわせて訳す。Andの次には何か続くという感覚を養う | 名詞and名詞、動詞and動詞など、何と何が並列なのか、文中で考えさせる。butや, (コンマ)でつながる並列も考えさせていく。 | andだけでなくbutや, (コンマ)でつながる並列また、単語だけでなく句と句の並列、節と節のなども、自分で探し、訳す。 |
概論 | 実践編 | 補遺 |
第1部 「ことば」への立場 ![]() |
||
なぜ物語?なぜ語順訳?» | コアの語順訳(実例)» | 自然な英語に丸ごと触れる» |
第2部 「ことばの森」に入る ![]() |
||
比喩としての森» | 中1から関係代名詞 !?» | 主語+動詞の語順» |