「abさんご」黒田夏子著

斜め読みを許さない文体である。音読をすればすぐにわかる。読者の呼吸のリズムを拒否し、作家のゆるやかな時間に引き入れる強さがある。性急さへの戒めのように。フィルムを巻き戻し、咲いた花を元のつぼみ、双葉の...