中学の英語教科書を語順にそって訳してみる   その26

〜英語の基礎力をつけるための語順和訳と音読〜

NEW CROWN3より、‘A Present for You’ 第5回

この作品では、一語一語ではなく、語句をまとめて訳しています。主語+述語動詞、主語+述語動詞+目的語などです。英文の姿を捕まえるには、文の要素に注目しなければいけませんが、多くの文はこの二つの組み合わせでできていますから、早く慣れてしまいましょう。英語は単語の組み合わせで成り立っていますが、日本語の文にするには、助詞の「と・を・に・は‥」などを付け加える必要があります。
次の文を例にとれば、Jim married Dellaはそのまま訳せば、「ジム、結婚した、デラ」とだけ書かれていますが、語順がそれぞれの語がどのように関わっているかを示していますので、「デラがジムと結婚した」にはなりません。述語動詞の前が主語ということが原則になります。

When Jim married Della, he showed her a gold watch,

When                           ‥の時
Jim married Della         ジムがデラと結婚した→ ジムがデラと結婚した
he showed her              彼は彼女に見せた→ ジムがデラと結婚した時、彼
             は彼女に見せた
a gold watch                 金時計→ シムがデラと結婚した時、彼は彼女に金
                                  時計を見せた

“My father gave me this watch,” he said.

“My father gave me     「私のお父さんが私にくれた
this watch                     この時計→ 「私のお父さんが私にこの時計をくれた                               
he said                          彼は言った→ 「私のお父さんが私にこの時計をく
                                  れた」と彼は言った

The gold watch was his only treasure, but he did not have a chain for it.

The gold watch was      その金時計はだった
his only treasure           彼のただ一つの宝物→ その金時計は彼のただ
             一つの宝物だった
but                               しかし
he did not                     彼は‥しなかった
             しかし彼は‥しなかった
have a chain                  鎖を持つ→ しかし彼は鎖を持つ・しなかった
             → しかし彼は鎖を持っていなかった
for it                              それのための→ しかし彼はそれのための鎖
             持っていなかった it=the gold watch


ここでちょっと英文解釈・「二つの目的語」
以下の二つの文には、それぞれ目的語(O)が二つあります。目的語というのは、日本語では「〜を」とか「〜に」という形で動詞につながっていく語句です。

he showed her a gold watch     彼は 彼女に 金時計を 見せた(V)
S    V      O-1     O-2

My father gave me this watch  私の父は 私に この時計を くれた(V)
    S        V   O-1    O-2

語順にそって訳せば 彼は→彼は見せた→彼は彼女に見せた→次は、彼は彼女に金時計見せた、のままではおかしいですよね。
「金時計」と「見せた」の間に「を」が入ります。英語でshow、give、と言った言葉がくれば、その後には「誰に?」とか「何を?」とかがくる感覚を忘れないように。そうした感覚は、自分が語り手になったつもりでスラスラ言えるまで音読を繰り返すことで身につきやすくなります。いちいち日本語にせず、英文から直接意味をくみとり(イメージとして受け取り)ながら場面を想像し音読します。
このように動詞にはこのように目的語をふたつ取るものがあります。
tell, bring, buy, make‥などなど。いっぱいあるので、出てきた時には意識しよう。

ところで、語順訳と速読について、単語や熟語をあまり知らない段階での語順訳は、一語一語訳していくしかありませんが、動詞の単語をたくさん覚えたり、冠詞、形容詞、人称代名詞、前置詞句などの働きが見え始めたりしたら、語句のまとまりごとの訳に移行します。そして、まとまり
ごとの意味の復習が十分にできたら、次は日本語にしないで音読することを試みましょう。
単語・熟語は早くたくさん覚えたほうがいいでしょう。そうした語い力がつけば、より英文の姿が見えるようになるでしょう。最後は、日本語の文としてつながずに、まとまりの語句ごとに訳したら、そのまま先へと進む訓練になります。
次のように短い文なら

My father  gave me  this watch.
私のお父さんが → 僕にくれた → この時計(を)、と語句ごとに意味をつかんだら、いちいち文にしないという方法になります。
さらに、十分に自分のものになった単語がたくさん増えて来れば、訳さないで、音読したまま意味がつかめるようになり、だんだん早く英文が読めるようになるでしょう。
I→私、watch→時計などと、日本語にしないまま、内容を理解していく。そうすると音読=意味の理解となるのです。英文を最後まで見渡して、どのように日本語をつなごうかと考えるのではなく、英文の語順にそって意味をつかもうとする訓練は、長文を早く読めるためのたいせつな訓練でもあるのです。
                               (つづく)