朝。大阪駅構内のコーヒー店で。

隣に座っていた中年の男女が立ち上がる気配。そのとき女性の声で「残したん?そんなん被災している人に悪いやん」何のことかもちろん理解できずにいると、立ったままの男性が「そうやな、そやけど・・・」そういって一時それを見つめている、その視線の先に私も目をやると、モーニングサービスのトーストの食べかけが。

請求書を手にとり行きかける。女性もワンテンポ遅れてバッグを手に立ち上がり、レジへと向かっていった。

地震による大地の亀裂と違い、二人の間にできた裂け目はそれほど深くはなさそうだったし、またそうあってほしい。それほど簡単に解決できるできごとではないのだから。

被災された方たちの心の奥底に点った命への問いと、それはどこかでつながっている気がするからである。