英語力ゼロを気にしない  その6

もしあなたがアメリカで生活することになったら、いつかは英語を話せるようになるだろうと想像できますよね。アメリカへ来た目的の達成のためには、否応なしにアメリカ人と接しなければならない。あなたのアンテナは日本にいた時の何倍も鋭敏になるでしょう。聞き取れないなんて嘆いていられませんよね。

聞き取れないのではなく、どれだけのことがわかったかに関心が向くはずでしょう。なぜなら、なんとしても相手の話した言葉の意味をつかまなければ前に進めないのですから。日本の教育を受け、英語力が低いと判断された人であっても、アメリカでの生活を始めると、日々英語力がつくことは間違いありません。そこには二つの理由が考えられます。一つは、いうまでもなく集中力でしょう。(学校での授業のように居眠りするわけにはいきません)そしてもう一つは、生きた言葉に触れているからと言えるでしょう。日本の英語の教科書の文章や会話教室で練習させられる会話例文は、生きた文章とは言えません。それらの背景には、あなたに語りかけてくる話し手がいないのですから。あなたに語りかける人がいてはじめて、あなたは何かを答えようとする思いが生まれるのではないでしょうか。この日本にいてアメリカでの生活と同様な言葉には出会えません。しかし、それに似せた学習環境を作ることはできます。(ここでの環境は、お金をかけた合宿のような環境ということではなく、誰でも気軽に参加できるものを意味しています)

それは、物語の世界です。物語には語り手がいて、あなたに向かって、こんな話があったんだよ、と語りかけてくれます。想像の世界は、いわゆる現実の生活世界とは違います。違いますが、もう一つの現実世界という性質を持っていると言えるでしょう。長いあいだ語り継がれてきた物語は、一見子ども向きのお話に見えますが、人々を惹きつけるものを持っています。物語というのは想像力がものを言う世界です。そして想像の世界はもう一つの現実世界であると言えないでしょうか。心が現実にときめき、ドキドキし、うんうんとうなづく場面にも出会うでしょう。心が関与する世界は間違いなくもう一つの現実の世界です。

私たちコアの教材は物語です。音読しては語順訳をし、語順訳をしては音読していくと、いつの間にか自分が語り手になったような気分になります。そういう質の音読を重ねていけば、文法の世界も見通しよく、わかりやすくなります。音読を通して物語を自分で表現する。どうぞ、挑戦してみてください。理屈は要りません、知識はなくても前に進めます。