中学の英語教科書を語順にそって訳してみる   
はじめに

          〜英語の基礎力をつけるための語順和訳〜

中学生の皆さんへ
英語で困っている人、逆に英語の力をもっと伸ばしたい人へ
誰でも、これをやれば、やった分だけ必ず伸びる・・

ほんとうだろうか?
         ・・・ほんとうです。

私はコア英語教室という団体の代表をしている者です。
このブログでは、私たちの教室で行われている「語順訳」という方法を、学校の教科書、NEW CROWNやNEW HORIZONなどに掲載されている物語の長文を訳すことで、紹介していきます。

最初はNEW HORIZON1年生の教科書から、’City Lights’を取り上げます。
教科書の124ページに載っています。今このブログの記事を読み始めた時がいつであったとしても、かならず皆さんの役に立つはずです。今何年生か、また学校でどこまで習っているかを気にすることなく、いつでも始められます。
また、その後は、NEW CROWN 1年の’Alice and Humpty Dumpty’を取り上げる予定です。そして順次、各教科書の2年、3年の物語作品へと続けます。自分と違う教科書だからといって、役に立たないわけではありません。とにかく一度この世界を体験してみてください。そのわけがわかると思いますよ。

語順和訳と音読は、学校の予習のためではなく、基礎力と応用力をつけるのに役立ちます。
学校や塾での会話のやり取りや、知識学習とはちがい、どちらかといえばトレーニング的な学習です。英文の姿を感覚的に身につける方法、と言ってもいいでしょう。学校の進度と関係なく学べるはずです。

始める前に、英語の語順にそって訳すとはどういうことか、を例文を使って説明しましょう。

たとえばNEW CROWNの3年生の教科書に ‘A Present for You’ という作品がのっていて、その中に次のような文があります。長くて難しそうな文の方が、特徴が伝わると思います。

Della wanted to buy a present for her husband, Jim, but they were poor.

この文を訳しなさいと言われたら、皆さんはどのように取り組みますか?

単語の意味を調べて、「デラ、望んだ 買うことを? プレゼント、のための、彼女の、夫、ジム、しかし、彼らは、でした、貧しい」。このように全ての単語の意味を書き出して、全体をながめて、なんとか日本語の文になるようにつなぎましたか?
 でも、それでは英語の語句がどのように組み合わさっているから、このような意味になるとわかりませんよね。もしかしたら、間違ってしまうかもしれません。あるいは文を最後まで眺めて、なんとなくつながるようにしたかもしれないですね。でもそれだと、英文が生まれていく順序を無視することになります。できれば言葉を話したり、読んだりする順序にそって、意味をつかむ習慣を身につけたいものです。(それが最後には速読力となって役に立ちます)

あくまでも英語の文について学ぶわけですから、英語そのものがどのようになっているかを追体験することが大事なのです。意味がわかったら、あとは先生の説明を聞くという学習が一般的かもしれませんが、説明を聞いてもすぐにわかるとはならないでしょう?自分で訳してみるということは、とても貴重な経験となります。

日本語とは異なり、英語は語句の順番、配置で意味が決まります。日本語なら「犬が太郎に吠えた」も「太郎に犬が吠えた」も同じ意味ですが、英語ではThe dog barked at Taro.とTaro barked at the dog.というようにbarked の前に何がくるかで意味は全く異なってきます。それぞれ「犬が太郎に吠えた」「太郎が犬に吠えた」です。

このように、英語はまず述語動詞(文の中で述語の働きをする動詞)がどれであるかがわかれば、その動詞の前にある語が主語になる、ということが基本です。先ほどの英文を1語ずつ順番にそって語順和訳していきましょう。いきなり長い文を例にとりますが、順序にそってやっていけば、誰でもできるはずです。

(新たに加わった語句には下線を引いてあります。)

Della 

デラ

(女性の名前)文の最初に来ているので主語に思われますが、述語動詞が現れるまでは未定ということになります。    

Della wanted      
デラは 望んだ

緑の字主語赤い字述語動詞を表しています。
wanted(現在形はwantで「望む」)
述語動詞が出てきましたので、デラが主語になると判断します。名前の後に主語を表す「は」(または「が」)をつけて訳を加えていきます。

このように、英語では、あることを主語として取り上げると、すぐその後に述語動詞がきて「・・する」とか「・・である」と言い切ります。何よりもこの主語→述語動詞のつながりの強さに目を止めましょう。

Della wanted to buy
デラは 買うこと を望んだ

to buyはto+原形の動詞で不定詞といい、3つの訳し方がありますが、ここでは「買うこと」がふさわしいので、そのように訳し加えます。英語の順序のままに訳すと「デラは望んだ買うこと」となりそれでもつながりそうな気がしますが、日本語では述語は「文の最後」にきますから、「デラは」と「望んだ」の間に「買うこと」を入れます。「望んだ」の前に「を」が入ると自然な日本語になります。

Della wanted to buy a 
デラは 一つの 買うこと を望んだ

aは「一つの」とか、「ある・・」と訳す冠詞で、この後には「数を数えられる名詞」「単数名詞』がきます。訳さずにいる方が自然な日本語になるようなら訳さなくていいでしょう。訳す場合、buyも動詞なので「買うことを 一つの」ではなく、「一つの」の後ろに持ってきて訳します。

Della wanted to buy a present 
デラは プレゼント を買うこと を望んだ

プレゼントという名詞が出てきましたのでつなげます。わざわざ「一つの」と訳さなくても良いので、ここでは省略します。

Della wanted to buy a present for
デラは 〜のための プレゼント を買うこと を望んだ

for(前置詞)は、for〜で、「〜(ナニナニ)のための」と訳します。そして前の言葉presentにつなぎます。

Della wanted to buy a present for her
デラは 彼女の のための プレゼント を買うこと を望んだ

〜のところにherが来ていますから、〜の代わりに「彼女の」を入れます。「彼女ののための」は変な日本語ですが、さらに後ろに言葉がくればはっきりとした日本語になりますから、そこまでがまんしましょう。

Della wanted to buy a present for her husband,
デラは 彼女の 夫 のための プレゼント を買うこと を望んだ

herの後にhusbandが来たので「彼女の夫」というようにつながります。

Della wanted to buy a present for her husband, Jim
デラは 彼女の 夫、ジム のための プレゼント を買うこと を望んだ

[ , ]はher husbandと同じ言葉の言い換え(同格)を表しているので「夫、ジム」と訳します。「夫のジム」「夫であるジム」でもかまいません。

(つづく)