中学の英語教科書を語順にそって訳してみる
その2

       〜英語の基礎力をつけるための語順和訳と音読〜

‘City Lights’ を語順和訳する

このシリーズはどの学年でも役立ちます。1年生にとっては少しむずかしく感じるかもしれませんが、実際には短い文もたくさん登場しますから、いつの間にかなれていくと思います。
単語や熟語を知らないことを気にする必要はありません。それはそれで勉強してください。
ただ英語の読み方には早くなれた方がいいのはまちがいないので、見本の音声をくりかえし聞き、スラスラ音読できるようにしてください。

語順和訳は必ず慣れていくはずですが、音読は少しでもサボると実力が落ちます。毎日の積み重ねが大切です。これからとりあげる作品を一度読んでみて、時間を測って見てください。
それほどかからないと思いますし、練習を重ねればさらに早く読めるようになるでしょう。
この積み重ねは必ずあなたの英語力を高めてくれます。ご飯を食べることを忘れても、音読は忘れるな、です。

’City Lights’の第一段落です。まずスラスラ言えるまで読んでください。

Charlie was a poor, lonely man. 
He had no job, and walked around the city every day.
One day, he saw a girl on the street.
She was blind and selling flowers for her family.
Suddenly she dropped a flower, so Charlie picked it up and bought it.
The girl thanked him, but he did not say a word and walked away.
The girl could not see Charlie, and thought, “He’s a rich, kind man.”

語順和訳を始める前に、まずこの段落だけでいいので、スラスラ読めるようにしておきましょう。以下の段落でも同じです。読めないテキストについて勉強しても、役には立ちません。
教科書にはこの段落が75wordsでできていると書かれています。1分間に100語から150語くらいの速さで読めるといいので、おおよそ45秒、なれて早く言えるようになれば30秒が目標となります。しっかりと読めることが、どんな英語学習でも基本であることを覚えておきましょう。日本語の文章であっても、難しい漢字、熟語で読めないものは意味もわからないですよね。正しく読めるということは、英語を学ぶにあたって何より大事なことなのです。

Charlie was a poor, lonely man.

これを次のように一語ずつ加えながら訳していきます。そして訳す前には必ずその語を声に出して読み、その意味(日本語)も声に出しましょう。基本は訳している箇所の先までを見な、ということです。日本語の赤字で下線が引いてある部分は、英語の述語(赤い字)に対応しています。英語では主語→述語と繋がっていたのに、日本語ではどんどん後ろへと下がっていくのがわかります。

Charlie    チャーリー(声に出す)。意味は「チャーリー」(男の人の名前)

Charlie was  ワズ(声に出す)。be動詞 is、「ある・いる・なる・です」の過去形。
        ここでは「であった=だった」としておきましょう。
        述語動詞としてwasが出てきましたので、その前のチャーリーが主語と判
        断できますから、「は」や「が」をつけましょう。

        👉述語動詞が出てくれば、その前は主語で「は・が」をつけて訳す。

        チャーリーは だった

Charlie was a  ア(声に出す)この後には数えられる名詞の単数形がくる。「一つ・一つ
         の」とか「ある〜」と訳すか、あるいは訳さない方が良い場合もある。こ
         こでは訳さないことを選びます。

Charlie was a poor,  プア(声に出す)「貧しい」 ここまでをつなげます。
          「チャーリーはだった 貧しい」と答えたと思います。
          ここで【ルール】👉述語動詞は日本語に訳すときは、文の最後にくる
          というルールを当てはめます。
          チャーリーは貧しい だった
          [ , ](カンマ)があるので、ここでは「そして」という含みがあります。

Charlie was a poor, lonely  ロウンリー(声に出す)「ひとりぼっちの」
          また「チャーリーは貧しいだった、ひとりぼっちの」としたかもしれ
          ませんが、ここでも先ほどのルールを当てはめます。「述語動詞は最
          後に」持ってくる。
          チャーリーは貧しい、ひとりぼっちの だった

Charlie was a poor, lonely man  マン(声に出す)「男」
          チャーリーは貧しい、ひとりぼっちの男だった

でもいいですし、次のようでもかまいません。
          チャーリーは貧しく(て)、ひとりぼっちの男だった。(男でした

このように最初は一語ずつ加えながら訳します。英文が生まれていく、そのままを追いかけていくわけです。次第に意味のまとまりごとに訳すこともできるようになります。
a poor, lonely man → 貧しくてひとりぼっちの男 というように。

英語について勉強しているわけですから、日本語だけをつないで意味をつかむのではなく、必ず自分で語順和訳するようにしましょう。すると、英語の語順感覚がつかめるようになりますし、また、それぞれの語がどのようにつながっていくか、つまり語の働きも見えてくるようになります。さらに上達すると、いちいち日本語にすることなく読める、すなわち速読が可能になります。

この和訳の学習では、基本的なこと以外あまり文法にはふれません。英文の順序に従って意味をつかむ訓練ですから、語句には訳しやすい日本語を当てています。とにかく語順和訳の効果は音読の良さ悪さに左右されますから、くれぐれもそのことを忘れないように。

こ のわ や く のが くしゅう で はきほ ん・・・・
先ほどの英語をもしこんな風にしか読めないとしたら、意味のまとまりが生まれないですよね。何が書かれているかわかりづらいでしょう? 英語らしく読むということは、当たり前のようだけれど、とても大切なことだと思います。」
  (つづく)