中学生のための語順訳と音読・入門 その3

単語を読むということ。
英文をスラスラ読めるようになるためには、個々の単語をまず正確に読めるということが欠かせません。そして、もう一つ、英文のリズムやイントネーションをつかむ必要があります。
最初は英文の文字を見ながら、見本の音声から聞こえたままに言う練習をします。また文字を見ないで聞き、真似をするという方法もあります。どちらの練習もやった方がいいでしょう。
そして語順訳をしたあとで、読みもスラスラに近くなってくれば、シャドーイングも試しましょう。見本の音声が聞こえたらすぐその後を追いかけるように言ってみる練習です。難しいようでしたら、最初は文字を見ながらやってみてもかまいません。

英文の仕組みについて習った後に、問題集で復習し、習った内容を確認する方法も学習の一つですが、音読の質を上げることも大切な学習です。単語を間違えて発音したり、見本通りでないイントネーションでしか英文を読めなくても、文法についてある程度は理解することができるかも知れません。しかし、正しい知識が身についても、聞き手に間違った発音で話していては、言いたいことが伝わりませんよね。知識を理解することと正しく読めることは同じくらい大事なことだと言えるでしょう。

今回はまず、三省堂のNEW CROWN 1年を使います。
違う教科書の人もできるように、単語の意味をできるだけ載せるようにしましょう。読み方はネットや、辞書を調べて、正しく読めるようにしておいてください。

Lesson6 に次の文が出てきます。Part1  Discover Japan
This year my family and I went to many places in Japan.

This/この  year/年 this year/今年  my/私の
family/家族  and/‥と‥  I/私は  went to〜/〜へ行った
many/たくさんの、いろいろな  places /場所(複数形) 
原形はplace  in〜/〜の、〜の中の  Japan/日本

日本語をじっと眺めていると、なんとなく文が作れそうになります。でも、それでは日本語の勉強にはなるかもしれませんが、英語の勉強にはなりません。
第一、日本語をつないだだけでは、それが正しい訳かどうか確かめられません。英語について勉強するわけですから、英語の語句が登場してくる順に、一つも欠かさずに訳していきましょう。
つまり、英文の先までを見て、日本語を当てはめることはしないで一語一語、登場する順番にそった単語にだけ注意を向けましょう。

英語を訳すにあたって最初のルールをあげましょう。
それは、英語には原則としては主語があり、その後に述語動詞が結びついているということです。
2回目に書きましたが、日本語では主語と呼ばれる語を使わないことが多いです。特に話をしている時は、いちいち言わなくてもお互いに理解できるからと考えられます。
「山田です」「田中です」と二人の人が挨拶を交わしても不自然ではありません。話し手が自分のことを言っていることが自明だからです。これを英語にそのまま訳して、*am Yamada,  *am Tanaka. (*は文ではないことを示しています)というわけにはいきません。
主語のIを加えて、 I am Yamada.となります。ここには、もう一つのルールがあります。述語動詞の前に主語がくる、ということです。例文の場合も同じようになっています。
my family and I went to  my family and Iが主語で、went toの部分が述語動詞になります。そして、主語を日本語に訳す場合は、その語の後に「は」や「が」をつけることになります。英語には
「は」や「が」にあたるものはありません。その代わり、語句の順序が大切になります。語句に順序があるので、語句のつながり方がわかるわけです。


語順訳
今年、私の家族と私は
今年、私の家族と私は〜へ行きました
今年、私の家族と私はたくさんの・へ行きました  
(「〜」に一つでも訳が入れば、あとはもう使いません。)
ここで次のルール。日本語では英語の述語動詞の部分は最後にもってくることになります。前から順に訳すからと言って「今年、私の家族と私は〜へ行きましたたくさんの」とはしないということです。
今年、私の家族と私はたくさんの場所へ行きました
今年、私の家族と私は〜のたくさんの場所へ行きました
今年、私の家族と私は日本の(中の)たくさんの場所へ行きました

将来、語順訳に十分に慣れてきたら、逆にいちいち日本語の文にせずに、「今年→私の家族と私は→〜へ行きました→たくさんの場所へ→というように、英文に沿って、そのまま語句ごとに、意味を積み重ねるようにしていかなくてはならないのですが、今はまず、日本語の文として訳を完成させて、英文の意味をつかむようにしましょう。
日本語の文として正しい順序にしなくても、英文の順序のまま語句の意味を重ねていくだけで、文の内容がわかることが最終の目標になりますが、この語順訳講座はその入り口です。

                  (つづく)