オープン・シェア
メジャーリーグ・パドレスのダルビッシュ有投手や青山学院大学陸上競技部が自分たちのデータをオープンにしている。以下NHK放送予定の案内から引用。すでに放映されたのでご覧になった方もおられるでしょう。
34歳で進化を続けるダルビッシュ有投手。箱根駅伝で“常勝軍団”に成長を遂げた青山学院大学陸上競技部。背景にあるのは、データの“オープン・シェア革命”。武器である変化球の投げ方や長距離に特化したトレーニング方法を惜しげもなく一般公開。そこから多くの選手が技術を学び、さらに進化した技術を学ぶという“成長の好循環”が生まれているのだ。また横浜DeNAでは、元選手中心だった人材登用を“オープン化”し、統計学やAIの専門家などを積極活用、選手強化に乗り出している。いかに個人や組織の能力を伸ばすか。企業の管理職や子育て中の親にもヒントとなる“スポーツ界の革命”
個人や団体の技術は、ややもすれば自分たちだけの財産とみなされ、公開されない。周りの者はそれを「盗む」のである。自分の技術と照らし合わせ、想像し、いろいろと試みることになる。競争社会ではそれは自然なことだし、技術は自分の生活の糧となる。
しかし、いまオープン・シェアといって、自分の技術、知識を公開する機運が高まっていると聞く。みんなでそれらを高めあったほうが、社会としての価値、財産を多く生み出すという考えだと思われる。現代社会はさまざまな格差を生み出しており、今の政治、経済の仕組みにどこか納得しないものを感じる者にとって、なにか先行きに明るさを感じる話である。持続しうる社会を目指すと叫ぶのであれば、こうした技術や知的財産の公開こそが求められるのではないか。自分たちが乗り越えられない壁を、他の者が超えることはいくらでもありうる。そのことで自分たちもその先へ進むことができるのだから。
一子相伝という考えがある一方で、伝えていきたいのに後継者がいないという話も聞く。さまざまな伝統工芸の世界が、世の中に必要とされないというだけで廃れていく。ある技術はもしかしたら全く異なった業種の世界では必要かもしれない。売上が落ちた時計や車の部品メーカーの技術が他の商品製作で花開いたという話もある。もしすべての知識や技術が公開されれば、誰彼なくそれを活かす方法を考え始めるだろう。その結果をすべての人に還元するという考えであれば、そこに見出せる可能性はとても大きい。
今世界は個々の国ごとに苦しみ、あえいでいるように見える。いわばかつての日本の鎖国状態に似ていなくもない。世界全体としての効率ということを考えれば、国家を開いてしまえと言いたくなる。全体より個々を優先させるという考えがある限り、それは無理な話なのだが、全体を優先させるという考えもまた、過去に大きな失敗をしていることを思えば、なるようになるしかないか、と思ってしまう。
ダルビッシュ有投手や青山学院大学陸上競技部の監督の考えが突然生まれたとも思えない。
私たちのだれかれなく、無意識のうちに求めていた結果である、と言えなくもないだろう。
とすれば、このオープン・シェアという考えは、スポーツ界に限らず、今以上に広がっていくかも知れない。もちろんそうした活動もどこかで壁にぶつかるだろうが、そこでまた、ひとは考えることになるだろう。
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