大切さの多様性
パンデミックに見舞われた2年が過ぎました。しかし、未だ先が見えない状況が続いています。パンデミックは大切さということの多様性を浮き彫りにしました。国家にとって大切なもの(こと)、地方にとって、個々の企業にとって大切なもの(こと)はそれぞれ異なり、また、国民として大切なもの(こと)と、個々の人間にとって大切なもの(こと)も異なっているということです。それぞれが等しく共通に大切だと言えるもの(こと)もある一方で、矛盾し、反対方向を向いてしまうもの(こと)もあります。ある集団の全体にとっての課題が、必ずしも個々にとっては課題にならないということもあります。気候温暖化を引き起こしていると言われる二酸化炭素排出などの環境問題も然りです。原子力発電がなかなか再稼働できない現在、今冬の電力不足が予想されると、火力発電のお出ましとなります。石油が値上がりすれば、安い石炭使用を考えるのは当然と言えるでしょう。全体と個は常に矛盾する部分を持っています。常に現実は矛盾に満ちているので、それを解決しようとして、逆に理念が一人歩きしてしまうと言えるでしょう。
多様性とは何か、という問題も一筋縄には解けない、そのような気がします。多様性を唱える主張からすれば、全体は、できるだけ小さくあって欲しいとは思うでしょう。とすれば多様化の道を進むということは、国家の機能をできるだけ最小限にするというほかありません。それは同時に個々の自立もまた要請されることになりますから、やたら要求ばかりするという態度も控えなければなりません。パンデミックの状況下、あれこれのニュースを見聞きしていると、変異ウイルスどころか、人間模様自体がくるくると変異している、そのように見えてきました。ウイルスの猛威が終わった後、私たちはたぶん、元の私たちでないものになっている、そのような気がします。
各教室でモデルレッスンを行っています。お気軽にお問い合わせください。